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不妊症の原因を特定するために、「一般的に原因となりやすい項目」について検査を行います。主なものとして『ホルモン検査』『卵管検査』『精液検査』があります。
その他検査結果から、『タイミング法』『人工授精』『体外受精』『顕微授精』といった、不妊治療の方針を決定します。
そして、この順に患者様の時間的・費用的な負担が増えますので、明らかな不妊原因のないご夫婦はタイミング法からステップアップをしながら妊娠を目指します。
一方、検査結果により不妊原因が見つかった場合には、適切な治療を選択することが大切となり、年齢的なことを考慮し、初めから体外受精を選択した方がよい方も増えています。
不妊治療には一般不妊治療と生殖補助医療(Assisted Reproduction Technology:ART)の2種類があります。
一般不妊治療にはタイミング法、人工授精があります。
タイミング法では、医師の診断をもとに排卵日を予測し、夫婦生活の効果的なタイミングをアドバイスします。
下の図はタイミング法で妊娠した方の回数を表したグラフです。
タイミング法では約90%の方が1~5回で妊娠されています。
また、6回目以降ではタイミング法による妊娠率は低いという結果が出ています。
5回目を限度として、次の段階の人工授精を検討する必要があります。
排卵日に合わせて調整した精子を直接子宮腔内に注入する方法です。
人工とついていますが、濃縮した運動精子を子宮腔内に注入することで、タイミング法の場合より精子と卵子が出会いやすくなります。
当院では日曜日も診察しておりますので、ご夫婦揃ってご来院ください。
人工授精とは選別された良好運動精子を人工的に子宮腔内に注入する治療です。
精子が子宮、卵管を通過していく間に、排卵後の卵子と自然に出会います。
人工授精は、卵管の通過性が障害されないような症例に適応されます。
その適応は、性交障害、乏精子症、精子無力症、乏精液症、ヒューナー検査陰性などがあります。
人工授精にはある一定以上の精子数が必要とされているため、重度の男性不妊には不適応となります。
排卵方法を完全自然にするのか排卵誘発剤を使用するのかを検討します。
排卵日を予測するため超音波で卵巣内の卵胞の大きさ、子宮内膜の厚さを確認します。血液検査でエストロゲン(卵胞ホルモン)を測定する場合があります。その後、人工授精の実施日時など医師と相談します。
卵胞の状態を確認するため再度超音波検査を行う場合があります。処置室に移り、人工授精を行います。
実施後は3分程度休憩していただき、最後に看護師が今後の日程や注意事項を説明します。
精液は、ご自宅もしくはで院内で採精していただき、培養士へお渡し下さい。培養士が、精液を洗浄・濃縮します。
顕微鏡で、総精子数、運動精子数を測定し、遠心分離機にかけて洗浄・濃縮を行います。
遠心分離で、精子の動きを妨げる白血球や未熟な精子、しんでいる精子、奇形精子をできるだけ取り除くことで、タイミング法より高い妊娠率が見込めます。
※所要時間は30分程度です。
人工授精をした後は、排卵と黄体機能の様子を採血で評価します。
黄体機能が低下している場合は、着床率を高めるために黄体補充療法を行うことがあります。
不妊治療において人工授精の妊娠率は約10%程度です。累積妊娠率では、妊娠された方の約90%が1~5回ほど人工授精を行っています。6回以降の累積妊娠率の上昇はとても少なくなりますので、当院では1~5回を目安に次の段階である生殖補助医療(ART)を検討します。
一般不妊治療よりも高度な技術の不妊治療を「生殖補助医療(ART)」といいます。
生殖補助医療(ART)には、体外受精(C-IVF)や顕微授精(ICSI)があります。
一般不妊治療で妊娠できなかった場合、以下の原因が考えられますので、生殖補助医療(ART)で妊娠を目指します。
子宮内膜症の方の中で卵管周囲の癒着が見つかった場合や子宮卵管造影などで卵管に閉塞や狭窄が疑われる場合
着床を妨げる子宮筋腫や子宮内膜ポリープがある場合
何らかの免疫異常で精子の運動を妨げる抗精子抗体(特に精子不動化抗体)が存在する場合
重度の男性不妊やサプリメントなどを用いても精子の質に改善が見られない場合
不妊検査で異常がなく、タイミング法や人工授精を行っても妊娠に至らない場合
当院では月経中のAMHの測定により、一人ひとりにあった誘発法を選択しております。
医師より体外受精・移植法の説明やスケジュールの確認をさせていただきます。
当院は日曜も診察しておりますのでご夫婦2人でお越しください。
体外受精を成功させるためには、できるだけ多く良質な成熟卵を採取する必要があります。自然で発育した1個の卵を採取するのでは非効率的ですので、体外受精では、排卵誘発剤(FSH/HMG製剤など)を使用して、一度に多くの卵子を採取できるようにします。
排卵誘発の方法は患者様の年齢や体の状態、過去の治療歴などにより、いくつかの方法があります。当院では、月経中のホルモン採血やAMHの測定により、1人1人に合った誘発法を選択しております。
また、排卵誘発剤を使用すると、通常より早く排卵してしまいますので、自然排卵が起こらないようにする必要があります。そのため、数日間通院する必要がありますので、通院が難しい場合はご相談ください。経膣超音波により卵胞径が18mm前後に到達したのを確認し、スプレキュアを点鼻して33〜36時間後に採卵を行います。
採卵とは卵巣から卵子を採取する処置です。
経膣超音波装置を使って超音波画像を見ながら採卵専用の針で卵胞を刺し卵胞液と卵子を採取します。
採卵後は、入院の必要もなく安静後診察にて問題なければ、ご自宅にお帰り頂くことが可能です。
媒精とは、卵子を体外培養環境下で精子と受精させることです。
媒精の方法には体外受精(C-IVF)と顕微授精(ICSI)があります。
卵子には成熟卵子と未熟卵子があり、受精できるのは成熟卵子のみです。未熟卵子でも体外で成熟すれば受精することができます。
媒精後18〜20時間経つと卵子由来の雌性前核と精子由来の雄性前核という2つの核が出現します。採卵翌日の朝に受精の確認を行うことになります。 この受精卵を胚と呼びます。
3個以上前核があるものは正常に受精していませんので移植することはできません。
受精卵は、採卵から2日経つと2~6細胞に、3日経つと6~8細胞に発育します。この時期のステージを初期胚といいます。その後何回か細胞分裂を繰り返し、5〜7日目には胚盤胞と呼ばれる着床寸前のステージまで発育します。胚盤胞には、内細胞塊といって将来胎児になる部分と栄養外胚葉といって胎盤になる細胞が見え始めます。
当院では採卵後2~3日目に初期胚を、もしくは5日目に胚盤胞を移植します。移植の個数は日本産科婦人科学会の指針に基づき原則1回につき1個の移植とします。移植は経腹エコーで子宮内膜の厚さや移植位置を確認しながら行います。
培養士が胚を培養庫から取り出し、移植専用の柔らかいカテーテルを用いて培養液と一緒に吸い上げ、子宮内膜を傷つけないよう、子宮底から1〜2cmのところに移植します。移植後は30分から1時間程度安静にしていただき、ご帰宅となります。ご自宅に帰られた後は、過度な運動は避け、翌日からは通常の生活をしていただいて構いません。
胚を移植してから約1~2週間後に血液検査で妊娠判定を行います。
顕微授精とは、卵細胞質内精子注入法のことでICSI(Intracytoplasmic Sperm Injectionの略)と言われています。体外受精では、精子が卵子の中に侵入していきますが、顕微授精では、マイクロピペットという針のように細い管で1個の精子を卵子の卵細胞質内に直接注入します。
ICSIの受精率は一般的に約70~80%といわれています。
顕微授精では重度の男性不妊の方や体外受精で受精障害のある方などが適応となります。
重症乏精子症、精子無力症、精子奇形症、不動精子症などです。精子の数が極端に少なかったり、極端に濃度が低かったり、極端に動きが悪いなどのために、体外受精では受精することが難しいと考えられる方です。
すでに体外受精を行った方で、全く受精しなかった場合、あるいは受精率が非常に悪かった場合も対象となります。また抗精子抗体を持っている方も対象となることがあります。
体外受精による妊娠では、自然妊娠と比較して流産率・早産率・低出生体重児・先天異常(染色体異常)・NICU・帝王切開率が若干増加すると報告されています。ICSIは自然な受精現象と異なり、人為的に卵子内に精子を注入します。そのため胎児への影響が懸念されますが、現在、日本で顕微授精により年間数千人以上生まれており、体外受精と比較して特に危険な治療法ではないと考えられています。
初期胚移植とは、受精後2~3日目の発育した胚を子宮に戻すことです。
複数の移植可能胚がある場合、良好胚の順に移植していきます。
受精後5~6日目に胚盤胞まで成長した胚を子宮に戻します。
この時期になると、将来胎児になる内細胞塊と胎盤になる栄養外胚葉が観察できます。
男性不妊には、先天性と後天性のものがあります。
先天性の男性不妊の原因は、様々な遺伝的要因や、発育段階で受けた影響等で、性機能不全になるもので、後天性の男性不妊の原因は、ストレス、アルコール、喫煙、精巣の損傷もしくは機能障害など様々なものが考えられます。
不妊と聞くと、どうしても女性に何かしらの問題があると考えてしまいがちですが、決してそんなことはありません。
WHO(世界保健機構)の報告でも、男性側に原因がある男性不妊が増加傾向にあると言われています。
食生活や生活環境の変化、ストレスなど様々な要因から成人男性の精子数が減少している現在では、男性不妊検査は必要不可欠です。
近年では、数多くの精密な検査法が開発され、精子の機能異常を細かく観察することが可能となりました。精液検査、ホルモン検査、精巣、精巣上体、前立腺等の性腺検査に加え、社会的ストレスや生活習慣など(外的要因)を含め、総合的に診断することにより男性の性機能、男性不妊の原因が詳細にわかるようになってきています。
男性の中にはプライドや心理ストレスから検査に消極的な方が多いですが、男性不妊検査は女性の不妊検査に比べて非常に簡単なものばかりです。
生活環境の変化や加齢による精子の減少・DNAの損傷も報告されています。現在の自分の精子の状態を把握し、今後のファミリープランなどを考えることは、子孫を残していく上で大変重要なことなのです。